今回は、失業手当の期間や失業保険を活用する際のポイント等について解説していきます。

失業手当はいつ支給される？

離職票の提出と求職申込を行った「受給資格決定日」からの7日間は「待機期間」と呼ばれ、この期間は失業手当が支給されません。さらには“一般の離職者”と“特定受給資格者”で支給開始のタイミングが異なります。

・一般の離職者（自己都合退職）の場合
7日間の待機期間に加えて1ヶ月の給付制限があり、それらが終了してから支給が開始される

・特定理由離職者や特定受給資格者（会社都合退職）の場合
一般の離職者とは違い、7日間の待機期間の終了後に支給が開始される

なお、2025年4月1日以降は一般の離職者（自己都合退職）でも、「雇用の安定・就職の促進のための教育訓練」を受講することで給付制限が解除されるようになりました。

失業手当の給付日数

所定給付日数（失業手当がもらえる期間）は、離職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって変わります。

・一般の離職者（自己都合退職）の場合の給付日数


・特定理由離職者や特定受給資格者（会社都合退職）の場合の給付日数


失業手当は、所定給付日数の範囲内で4週間ごとに失業の認定を受けることで支給されます。

失業保険を活用する際のポイント

失業手当を受ける際は次のような点に注意しましょう。

＜1＞申請と手続きを早めに行う
失業手当の受給期間は原則的に離職日の翌日から1年間のため、申請や手続きが遅くなると給付日数が残っていても最後まで受け取ることができなくなるので注意しましょう。

＜2＞受給期間中のアルバイトはほどほどに
7日間の待機期間中にアルバイトをすることは禁止。受給期間中ならアルバイトをするのは問題ありませんが、4時間以上働いた日は失業手当の支給がなくなります。また、週に20時間以上の労働や31日以上の雇用が見込まれる場合など、一定の労働時間を超えると「就業している＝失業中ではない」と判断され、失業手当の受給資格を失います。失業手当の不正受給を防ぐため、アルバイトをする際は収入の多寡によらずハローワークへの申告が必要なので、忘れずに連絡しましょう。

＜3＞再就職が決まったらお祝い金の申請を！
7日間の待機期間終了後、失業手当の所定給付日数の3分の1以上を残して再就職が決まった際に、次の規定を満たしていた場合はお祝い金（再就職手当）をもらうことができます。

・給付制限がある場合、待機期間終了後1ヶ月間はハローワークや届け出のある職業紹介事業者を介した再就職であること
・1年以上の勤務が見込まれること
・再就職先が前職（前の職場）と無関係であること
・過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
・失業手当の受給資格認定前に内定を受けていないこと
・再就職先で雇用保険に加入すること

再就職手当は、失業手当の残り日数によって支給額が変わります。

・失業手当の支給残り日数が3分の2以上ある場合
再就職手当＝基本手当日額×所定給付日数の残り日数×70％

・失業手当の支給残り日数が3分の1以上ある場合
再就職手当＝基本手当日額×所定給付日数の残り日数×60％

再就職決定後はハローワークに報告して、採用証明書などの必要書類を提出し、申請が受理されると再就職手当が支給されます。
就職することで収入が安定するだけでなく、残りの失業手当の半分以上を受け取れるため、早めに再就職することは大きなメリットがあります。

＜4＞健康保険料や年金保険料の支払い
失業手当受給中の健康保険料の支払いについては3つのやり方があります。

・任意継続制度を利用
前職で加入していた健康保険組合を引き続き利用する。ただし、保険料は全額自己負担かつ加入期間は最長で2年

・国民健康保険に加入
所得の減少具合によっては保険料が減免される場合がある

・扶養家族になる
配偶者が加入している健康保険の扶養家族になる。ただし、失業手当は収入と見なされるので、扶養の要件に当てはまるか確認が必要

失業手当受給時の注意点

申請時や受給中は気をつけなければいけないことがいくつかあります。

・一度受給すると雇用保険の加入期間はリセット
短期間で失業手当を繰り返し受給する不正を防ぐため、受給した後は雇用保険の加入期間がゼロからのスタートになる

・不正受給にはペナルティあり
虚偽申請や収入の隠匿など、不正行為が発覚した場合は支給停止や返還、さらには受給額の2倍の額の納付といったペナルティが課されることもある

まとめ

金銭面の不安が軽減されるというのが一番のメリットであり、失業保険は非常に心強い制度と言えます。もし、失業した場合はすぐに準備を進め、早めに申請を行い、失業手当を生活資金に充てた上で、心を落ち着けて就職活動に励むといいでしょう。

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